<コラム> グルマンな香り(後編) <コラム> グルマンな香り(後編) <コラム> グルマンな香り(後編)

ミラー ハリスのフレグランスエキスパート、ニック ギルバートが、「ブライトン ロック」とグルマンフレグランスの甘い世界をご紹介します。

香水の世界で「グルマン」 なフレグランスといえば、香りに鼻を近づけると、食べられそうで、甘く、食欲をそそる香りを感じられるものを指します。伝統的にはウッドやフローラルとともに供され、香りの拡散とやみつきになる美味しさを香水に与える効果があります。

ミラー ハリスには、グルマンの空想をくすぐるペアの香り「ブライトン ロック」「ブラウジー」があります。美味しそうで、ノスタルジックな風味をひとなめするような…。グルマンを楽しむには、このほかにどんな香りをかぐべきでしょうか?


スケルツォ

「スケルツォ オーデパルファム」がきわめてクレバーであるところ。それは調香師マチュー ナルダンが「スケルツォ」(そして「テンダー」)のインスピレーションの源となった『夜はやさし』の一節を解釈し、南フランスの庭園の上、ピンク色の雲の中を漂う「スウィートショップのウィンドウのシュガーフラワー」というアイディアを思いついたことです。美味しくてクセになりそうなスウィートノートは、バニラと綿菓子のコンビネーション。そして甘いベリーがわずかにフレグランスの中に隠れています。


ノワード チュベローズ

この香りのナッツのような側面を理解するまで、「ノワード チュベローズ」(チュベローズのナッツ)という名は私を少し混乱させました。チュベローズは、桃や甘さを連想させると同時に、アーモンドのような繊細な香りをも思わせます。そして「ノワード チュベローズ オーデパルファム」では、パウダリーなトンカビーンとファジーなミモザの組み合わせによって、アーモンドの側面が強調されており、それぞれがもともと持っているアーモンド風味に加え、熟したチェリーとソフトなバニラをかすかに感じさせます。


ロスト(イン ザ シティ)

ミラー ハリスの中でも最も鮮やかでフルーティな香りの「ロスト オーデパルファム(イン ザ シティ)」は、ルバーブの素晴らしさと美味しさを称えています。ショッキングピンクで酸味があり、食欲をそそるルバーブは、生で食べたり、砂糖を入れた袋に浸したり、煮込んでコンポートにするのに最適です。「ロスト」はルバーブをブラックカラントとベルガモットのジューシーなノート、そして繊細なローズの花びらの香りと競わせ、さらにコンクリートの割れ目から飛び出してくるシダのように涼しげなグリーンゼラニウムのノートを組み合わせています。